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トム・マイヤーズのtalks at googleでのトークのあらすじと日本語訳(筋膜編2)

前回に引き続き、talks at googleでのトム・マイヤーズのトークの日本語訳兼要約をしています。(話している内容の完全な訳ではなく、ところどころ内容をまとめて翻訳しています)


このトークでは2つのテーマについて話されています(冒頭では3つについて話すといっていますが実際は2つになっています)。1つは動きについて、もう1つは筋膜についてです。筋膜については、15:22から38:58まで語られいて、特に24:20頃からはミクロな視点で見た筋膜についてのお話をしています。

24:22 地球上の全ての生物は1つの細胞から始まりました。そこから様々に進化をしていきました。単細胞、多細胞もいます。そしてあるとき、真核生物というものが生まれます。これは面白いことに共生し始め、組織としての生命となりました。非常にたくさんの細胞が1つの組織となって、それぞれが生きるために、栄養を取り込み、ゴミを送り出したりできるようなシステムになったのです。ヒトは70から100兆個の細胞を持つと現在推定されています。口の中などの細胞を含めるかなどで大きな開きがありますが、これらの細胞はいったいどのように適切な位置関係を持っているのでしょうか。朝目覚めたら心臓がお尻の方にあったら、起きられないでしょう?全ての組織は適切な位置に保たれているのです。それはどのようにか考えてみると、「接着させる(glue)」か「編み込む(weave)」かについて考えなくてはなりません。この答えは両方と言えます。細胞はとても繊細で小さな脂肪の多いしずくであり、身体の中を自在に動き回るタンパク質を作り出します。そしてその細胞は接着され、編み込まれながら、あるシステムの中にあるのです。このシステムのおかげで適切な場所にいることも、適切な場所に動くこともできるのです。このシステムとはECM(細胞外マトリクス)と呼ばれていて、様々な細胞を取り込んでいる様子をこのイメージで見てもらえます(26:15)。このECMの一部は繊維で構成されています。細胞が細胞間にコラーゲン繊維をはじめとするいくつかの繊維を産生しそれらが編み込まれることによってできた繊維の集合体が先ほどお話ししました筋膜になります。このコラーゲン繊維は植物でいうセルロース、植物はセルロースによって体を支えられています。そして、私たちはさらに、ムコ多糖類、いわゆる粘液によって接着されています。この粘液は身体中いたるところにあります、そして多くの細胞はこの液にコーティングされています。この粘液は編み込まれた繊維群(筋膜)と細胞のインターフェースとなっています。この繊維と細胞の間にあるジェルの状態はどのように水や食べ物を処理するか、またどのように動くかといった点において非常に重要です。筋膜も重要ですが、このジェルも非常に興味深いものですね。


27:28 筋膜はひとつながりのシステムです。私たちは外界との境界は皮膚だと思いがちですが、筋膜は我々と外部環境のインターフェースとなります。皮膚は乾いた外界との直接のインターフェースとなり、筋膜は私たちの身体の形を保持しています。簡単に4つの異なる細胞について解説します。1つは電動に適しているが非常にデリケートです。もし切れると容易に再生はしません。酸素に数分晒すと、障害が生じます。この細胞は神経細胞であり、非常にデリケートですが、電気信号を伝えてくれます。筋肉細胞は収縮に特化しています。結合組織細胞は支持するための材料を作り出します。どのようにその材料を作るかと言いますと細胞から染み出してきます。そして、4つめは上皮細胞といい組織を丈夫に維持させるための裏打ちをしています。肺の周りを覆ったり、血管の周りを覆ったり、腸管の周りをおおうことで丈夫に保護強化させさせています。どこであっても裏打ちが必要な箇所には上皮細胞があるのです。さて、結合組織細胞はこれらすべての異なる細胞を1つにまとめあげます。もし2,3個の細胞しかなければ、それらの間にこのように接続を作れば良いです。しかし、もっと多くの細胞がある場合、それらをつなぎ合わせる何かが必要です。結合組織はこの要素を持っています。1つは繊維ともうひとつは接着です。このブラシのようにみえる分子が接着させる箇所です。これが体内での様子です。これはフランス人外科医のガンベルトー博士によって撮影された生きた筋膜です。彼は手術中にミクロカメラを患者の体内に置くことでこれらの映像を得ることができました。この内容に興味がある方はstrolling under the skinという映像をご覧になってください。私たちは遺体の結合組織を解剖しながら、あることを思いました。これを生きた身体で見たら、順応性があり、三次元的な蜘蛛の巣状の結合が身体中に張り巡らされているのです。そして筋肉が動いたり、力が変化するごとに変化しているのです。


29:53 筋膜はトレーニングにおいて重要な特性をいくつか持っています。ここではそのうちの1つ弾力性についてお話しします。(ステージを見ながら)映像を見てください。(30:07)この運動をするのに私はどれだけの努力をしているでしょうか。一日中できます。もしこのように体を動かしたらどうでしょう。私たちが発見したのはこのスクリーンが示している筋膜の粘着性だけでなく、ここで見た弾性も示しています。つまり粘弾性を持つのです。この弾性は力を集めて、離すを繰り返させます。これが踵をつかないランナーの走りに通じます。彼らは地面を叩いているのではなく、また身体に蓄えられている糖分を使用するのではなく、力が集中すること(弾力のある筋膜の挙動)によって走っています。私の手はほとんど動いていませんが、この動きを続けられます。もちろんすこしは引き付けます、それを止めるとやがてこの動きは止まるでしょう。


私が教えるようなセラピーの施術家が働きかけるのは筋膜の3つ目の特性である可塑性です。神経の可塑性については聞いたことがあるかもしれませんが、これは筋膜の可塑性です。映像見てください、弾性能力を超えるように筋膜を引き伸ばすと、元あった場所に戻ることはできますが、手を離すと元の状態ではありません。筋膜は新しい長さになっています。この種の能力、ストレッチされるだけでなく、力から解放されるように伸びること。ハタヨガやその他様々なアクテビティで筋膜のこのような特性に働きかけることができます。そして(両手にテンセグリティ構造を持って32:27)この構造を見てください。筋膜と骨の間にある関係性を見ることができます。中心の骨はバランスのとれた周りの筋膜の張力によって浮いていることを見ることができます。この棒はそれぞれ接していません。そしてシステムの反応は全体のシステムの反応であることを確認できます。もしこのシステムを怪我すると、一部が固定されてしまいます。するとシステムの残りは適切に反応できません。怪我がここなのにも関わらず、結果として痛みがこっちに起きたりする可能性もあるのです。ですから今までの見方とは異なるような見方を私たちはしているのです。(今までのモデルの例えで棘上筋や三角筋により腕が上がるという考えを実演しながら)このようなロボット的な考え方は過去数百年に渡り私たちに知識を与えてくれました。しかし、このモデルをアップデートしなくてはなりません。このモデル(テンセグリティ構造のこと)は今後新しい身体の見方として役に立つと私は思っています。