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プロセスに目を向けてあげること

 先日、Eテレを見ていたところ100分de名著という番組で心理学者の河合隼雄特集をやっていました。

たまたま見ていただけなのに、番組を見ているうちにどんどん興味が湧いていき、気づいたら本を買って読んでいました。

ユング心理学の特徴や神話や昔話に基づいた日本人の心と西洋人の心の比較についての話は非常に面白かったのですが、一番印象に残ったものは分析心理学におけるセラピスト[心理療法家]の関わり方についてでした。

第1章の分析心理学の基本的なスタンスの中で心理療法家はどのようにクライアントの課題を解決するかについての文章があります。

「クライエントの心を縛りつける「why」の鎖を辿り、その人を揺り動かしている情動がおさまって心のバランスを取り戻してゆく過程を”共に歩む”のがセラピスト[心理療法家]の本領です。クライアントの問いや悩みに「解答」を与えるのではなく、「解決」へと至る道を一緒に探る。高名なセラピストに相談すれば、原因をたちまち見抜いて、どうすればよいかを「教えてくれる」と思っている人もいるかもしれませんが、そうではないのです。」(100分de名著河合隼雄スペシャルより抜粋)p14-15

この一節を読んだ時これはロルフィングと一緒だ!と一人感動していました。

ロルフィングもここでのセラピスト[心理療法家]同様に(身体の)バランスを取ることを目的とし、その過程を共に歩むのです。

 ロルフィングについての話をすると「それを受ければ症状は治りますか?」という質問をよく受けます。

この質問に対しては「症状を治す」とは表現はせず、「身体のバランスを取り戻す結果として症状は良くなります」と答えています。回りくどい表現ですが、実はここは非常に大切なポイントなのです。

ロルフィングでは、痛みや症状はバランスの崩れた身体が引き起こす「結果として現れるもの」と考えます。

そこで、痛みや症状を治療するのではなく、症状の原因となる身体のバランスを整えていきます。

このバランスを整えるという作業は単純に施術を受けてもらうだけではなく、筋膜が整った後に身体の動きや姿勢を確認してもらいながら、バランスのとれた自然な動きを経験してもらうことも含まれます。

施術を通して身体が整いながら、それを感じ、使いこなしていくプロセスによって、少しずつクライアント自身がバランスのとれた身体を獲得していくのです。

この共同作業の結果として、症状は改善されてゆきます。

これは河合さんの言う『クライアントの問いや悩みに「解答」を与えるのではなく、「解決」へと至る道を一緒に探り、バランスを取り戻してゆく過程を”共に歩む』ことと同様のことです。

 現代では何かとわかりやすさや、即効性が求められています。もちろん、それ自体を否定するわけではありませんが、それだけでは解決できないものもあります。

そういった問題があるときは、バランスを取り戻していくプロセスに目を向けてあげると、何か糸口がみえるかもしれません。